当番幹事挨拶▷ ページを更新する
日本小児外科代謝研究会は、平井慶徳先生のご提案により小児外科領域の代謝・輸液・栄養の問題を討議する場として発足し、植田隆先生が大阪で開催された第8回日本小児外科学会学術集会中に第1回の学術集会が開催されました(代表幹事 武藤輝一先生、事務局 平井慶徳先生)。本研究会発展の経緯については研究会ホームページに詳細に記されています。
本研究会で同門の岡田正先生(第7回)、窪田昭男先生(第33回)、和佐勝史先生(第36回)、米倉竹夫先生(第42回)が当番幹事をされました。私は胆道閉鎖症の栄養管理で学位を取得し(The importance of the plasma amino acid molar ratio in patients with biliary atresia. Surgery 1999)、小児外科代謝や栄養管理について勉強を続けてまいりました。この度、栄えある第46回本研究会を担当させていただく機会を与えていただいたことに感謝しております。第44回本研究会幹事会で施設会員制導入が決定し、それに関連して会則なども変更され、今回がリニューアル後初の研究会となります。
小児外科代謝栄養の臨床及び基礎研究は停滞した時期もありましたが、本研究会とともに日本静脈経腸栄養学会や日本外科代謝栄養学会の発展により再び活性化してきております。平成26年に2種類の新規医薬品半消化態栄養剤(ラコール半固形剤™、エネーボ™)が15年ぶりに発売され、在宅経腸栄養管理の幅が広がってきました。このような背景をもとに第46回日本小児外科代謝研究会では「小児栄養の現状と今後の展望」をメインテーマとさせていただきました。興味深い多数の演題を応募していただいたことに感謝しております。今後の小児栄養の発展を見据えて、活発な議論を展開していただけたらと思います。
和田基先生(東北大学)と渡邉稔彦先生(国立成育医療研究センター)にn-3系脂肪酸を含めた脂肪製剤についてのシンポジウムをお願いしました。n-3系脂肪酸製剤については過去2回の本研究会でも要望演題とされましたが、今回はシンポジウムで時間をかけて議論をしていただきたいと思います。
近年、腸内細菌叢の異常が様々な疾患に関連していることが知られるようになり注目を集めております。そこで、本領域のエキスパートである滋賀医科大学栄養治療部教授 日本静脈経腸栄養学会雑誌編集委員長の佐々木雅也先生にランチョンセミナー(共催:ミヤリサン製薬 )「腸内細菌叢からみた経腸栄養管理― プレバイオティクスとプロバイオティクスの活用 ―」をお願いしました。 ヒトの腸内細菌叢は乳児期に形成されますが、microbiomeの異常は成人期の高血圧症、高脂血症、脳卒中、心臓病、糖尿病などの生活習慣病や自閉症とも関連することが報告されていますので、新生児や乳児の診療に携われる多数の小児外科の先生がたのご参考になることと思います。
特別講演「日本小児外科代謝研究会の歩みと今後の展望」を2006年から代表幹事をされておられる土岐彰先生にお願いしました。長年にわたって本研究会を中心となって支えてこられた土岐先生のお話は、今後の本研究会を担っていかれる先生がたにとって貴重な内容となると思います。 スポンサードイブニングシンポジウム(共催:大塚製薬工場、イーエヌ大塚製薬)「小児在宅経腸栄養管理の新たな展開―エビデンスと臨床栄養管理―」を企画し、小児在宅医療の第一線でご活躍されておられる高見澤滋先生(長野県立こども病院 小児外科)、矢本真也先生(静岡県立こども病院 小児外科)、戸谷剛先生(子ども在宅クリニックあおぞら診療所墨田)にご講演をお願いしました。胃瘻造設術だけではなく、その後の栄養管理もされておられる小児外科の先生がたにとって明日から役立つシンポジウムになると期待しております。
第46回日本小児外科代謝研究会の開催にあたりまして、日本小児外科代謝研究会代表幹事 土岐彰先生、第32回日本小児外科学会秋季シンポジウムPSJM2016実行委員長 漆原直人先生、同事務局長 福本弘二先生、ならびに、大阪大学小児成育外科学教室の皆様にご指導ご支援をいただきましたことに深謝します。